ここに記載させて頂く「健康へのみちびき・健康生活八ヶ条」は弊社の会長でもあった環境学博士・出木場森蔵が説なえていたもので、情報過多の現在となっては非常に基本的なことで皆様もご認識されているのことが多いことでしょう。
しかしながら、60余年前より心・身・食の原点を追求し研究・実践を始め、40年以上前から講師としてこのような事を説きえていたことには、ただただ驚くばかりです。
まず歯を見ましょう。
胃も腸も、その他の臓器も直接歯との関連性があり、歯を見ればその動物が何を食べるべきかが解ります。
人間の歯には植物性の食物を食べる仕組みになっています。
そこに人間としての食生活がどのようにあるべきかの基本的な重要課題が暗示されているのです。
石油ストーブに白灯油を、ディーゼルエンジンには軽油を、ガソリンエンジンにはガソリンを使ってこそ、正常に作動するのと同じことです。
とても簡単で単純なことです。
そこで「人間の歯には門歯(もんし)と臼歯(きゅうし)があり、犬歯(けんし)は殆ど目立たない」ということは、人は草食動物で肉食動物ではないということを意味しています。
つまり、人間の歯の門歯は草類を食べる歯の設計であり、臼歯は穀類をすり潰して食べる歯なのです。
それは、馬や牛、山羊なども同じで、同類の歯の設計になっています。
犬・猫・虎・ライオンなどの肉食動物は、人間のような門歯も臼歯も無く、犬歯(キバ)が異常に鋭く伸びているのは弱い動物を襲い、噛み付いたら放さないための歯になっています。
同じ肉食のハブ恐ろしい毒牙も、噛み付いたら毒汁を筋肉深く注入する仕組みになっています。
肉食動物の奥歯は人間のような臼歯ではなく、山形にとがった鋭い歯で、それは強い力で骨をも噛み砕く設計であり、肉食動物と人間の歯と決定的に違う特徴です。
歯の示す通りの食物を選定し、自然の法則に従うこと。
それを守ることにより人間としての「正食」の条件が成立し、そこに「無病、健康生活の基本原理」が発見され、健康で豊かな人生の祝福が得られる事を先ず悟りましょう。
また、人間の腸は身長の約8倍の長さがあり、植物性の食物を一度腸内で醗酵分解してから、消化吸収する仕組みになっています。
同じく草食動物の馬は11倍、山羊は13倍もあります。
対して肉食動物の腸の長さは、身長の約4倍で人間の半分しかありません。
人間のように、腸内で醗酵分解せず直ちにそのまま消化吸収するから腸が短いわけなのです。
人間の「健全正食」とは、身体のつくりに合わせて植物性食物を選ぶところにあるのです。
人間は食べることを楽しみます。
しかし、欲に任せてやたらに食べ過ぎると過食になり、肥満体や病弱体になります。
胃袋を大切にして、食べ物は腹八分目以下を守る人は健康を保ち長生きします。
それが天地の法則に素直に生きる相(すがた)です。
黒糖は自然のままのミネラルを多量に含み、保健食となり疲労回復にも役立ちますが、白糖は黒糖から大事なミネラル分を取り除いたもので、骨を駄目にし諸病を引き起こす基です。
菓子類は殆ど白糖を使っています。
黒糖は色が黒いので(ミネラルのため)見栄えが悪くなり、商品価値が落ちるので使いません。
すなわち、「健康的よりも見栄え良くして売れる商品を造り、儲けることを主体」に造られています。
市販の清涼飲料水も菓子と同じく添加物がたくさん含まれ、見栄えや香りや味を美味しく感じるように造られています。
その上、自販機などで容易に入手できるために、若者などが無差別に飲食することは危険で、将来が心配されます。
甘味料も殆ど白糖か化学甘味料などを多量に使い、その他にも香味料・防腐剤・防カビ剤・着色料・膨らし粉などの添加物がふんだんに使われています。
そのような食品の氾濫であり、それを文化食品と思うのは間違いではないでしょうか。
子供には特に注意と指導規制が必要だと考えます。
これらの不自然な加工食品を食べても病気にならないのが不思議なのですが、それは「人体に備わる自然の生命力」が解毒し、中和し、浄化してくれるからなのです。
しかし、その自然治癒力の能力には当然限界があり、健康なうちはともかく疲労している時や病弱なときには厳しく規制しなければ解毒・中和・浄化能力を超え病弱体となります。
「病は口から入る」
この事に関心を持ち、よく注意し、守ることができる人は案外健康を保持することができています。
それは、天地の深い愛の計らいなのです。
人間が草食動物であるという基本に従い、食事を植物性食物に切り替え、貪(むさぼ)らず、感謝の気持ちでいただき、心を明るい方向に切り替えることのできる人は、自然と楽に健康を回復することができるのです。
白米という文字を横に書けば「粕(かす)」という字になります。
白米の白い部分はでんぷん質で炭水化物です。
脂肪分もタンパク質もミネラルもビタミンも、消化を助ける必須有効繊維質もみな剥ぎ捨てられた単純な、でんぷん質だけに偏った欠陥食品に化しています。
何故、白米にするのか。
その理由は「食べやすさ・炊きやすさ・見栄え」などでしょう。
しかし、栄養分が激減するために副食物でその不足分を補わなければならない気苦労は、主婦の負担となり、経費も増大し家計を圧迫します。
もしこれを元禄時代以前のように「玄米菜食中心」に切り替えることが出来たら、脂肪分もタンパク質も、ビタミンもミネラルも、必須有効繊維もみな過不足無く調整された「完全栄養食」に早変わりし「夢の健康正食」になるということは、医聖・二木謙三博士や桜沢如一博士、沼田勇博士やその他の健康正食の研究の大家たちの一致した見解です。
玄米菜食の効果はてきめんに現れます。
筆者も驚くべき幾多の死線をさまよう重疾患者を簡単に、幾人も短期間に全治させた体験を保有しています。
その偉大なる効果は、白米の「食べやすさ・炊きやすさ・見栄え」などとは比較になりません。
筆者は昭和2年に玄米菜食の偉大さを知り、実行して既に60余年になります。
家族みな孫子に至るまで皆元気でいられるいうことは、正食の条件に従って天然自然の法則に叶った食生活をしていたからといえます。
便秘が健康の大敵であるということは、すでに世に知られています。
玄米菜食をやれば便秘もたちどころに快便となり、美容や肥満体の解消、病弱体にはもちろん経費節減にもなるので健康生活を願う人にお勧めします。
ところが、医者や健康指導をされている方の中には「玄米には農薬がたくさん含まれているから危険で白米が良い」とか「消化も悪く胃腸の弱い方には不向きである」と申される方もいらっしゃいます。
私の体験からは結果は正反対に現れ、玄米菜食をやれば速やかに胃弱も全快します。
(私が健康指導させていただいているのは、玄米菜食だけではありませんが。)
また、農薬の問題も玄米に含まれているフィチン酸の働きで農薬のみならず、その他の添加物に汚染された毒性分まで「消化吸収不能」にして排泄させるという「天佑神助」とも思われる効能が働きます。
その毒性の弊害を「白米食者の40分の1に止める」という偉大な効力があることを、二木謙三博士は発表されています。
もちろん減農薬・無農薬であるにこしたことはないのですが。
鶏を白米と水だけで飼育するといった貴重な実験例では、鶏は7日から10日で足腰が立たなくなり20日前後で亡くなってしまいます。
いかに白米が粕的な不完全食であるかがわかります。
身体は「その生存する大地と先天性に一体不可分」のものであることを先ずご理解下さい。
つまり、南国に住む人はそれらしく、北国に住む人は北国に産するものを食すれば、その土地に住む人に適した成分のある食物が収穫されます。
亜寒帯の北海道のサンマは油濃く脂肪が沢山あります。
それに対して、熱帯地区のインド洋の魚には殆ど脂肪がありません。
それは、その土地の自然のエネルギーがいっぱいあり必要がないからです。
着物や家を造る場合と同じく、その土地の気候や風土に適したものにするのと同じ理由です。
真夏に冬のドテラを着たら暑くてやり切れません。
反対に極寒中に裸では住めないように、暖かいところの食物(魚の場合も)脂肪分は少なくなり、かわりにヤシの実のように水分と甘味が多くなります。
夏の野菜や果物のスイカやトマトなども同じです。
夏の野菜に水分と糖分が多いのは、暑く水分が蒸発してのどが渇くから。
秋から冬に収穫される穀類に脂肪が多いのは、冬に体温を保つために脂肪が必要なためです。
ですから、秋口の落花生や大豆、しいの実などは冬の寒冷時の保温に備えるため脂肪が多く、体温保持に役立つ働きをします。
自然の法則とはそういうものです。
極寒の季節にすき焼きなどが受け入れられ、夏にアイスクリームが売れるのは暖かい食べ物、冷たい食べ物だということだけではなく、自然の理でもあります。
夏の大根や白菜、冬のスイカやトマト、キュウリなどは邪道であり自然への反則となり、健康を害します。
山手に住む人は山手に育つ食物を、平地に住む人は平地に出来るものを、冬には冬の季節のもの、夏には夏の季節のもの、暑いところ、寒いところではそこで収穫されるものを、自然に従い料理も考えて食べることです。
それが「身土不二」の鉄則です。
それを昔から金持ちの人が贅沢したり、頭の良い人たちが儲けるために考えました。
「夏に冬のものを、冬に夏のものを」
「熱帯の地で極寒のものを、極寒の地で熱帯のものを」
これを、珍品・貴重とし、高価なものとして求めたり、そうした風習が今も横行して、現在も季節走りの野菜や果物などが店頭などを賑わしているのは、極めて邪道といえましょう。
健康への本道は、先ず血液や身体を弱アルカリ性にすることです。
そのためには「命(いのち)のあるアルカリ性食物」を選び、食すること。
生きている穀類、例えば玄米・大豆・小豆・とうもろこし・えんどう豆や精製しない粟・麦・ひえ等「生きていて水に浸せば芽が出るもの」はアルカリ性食物です。
生きたくば、生きたものを食べることです。
そしてその命を頂いたことに、感謝しなければなりません。
その他では、果物・野菜・根菜・海藻・梅干・黒酢などの飲食物を選ぶことです。
反対に白米・白砂糖・精白された麺類や加工された菓子類、肉類・魚類・卵等の動物性食品、清涼加工飲料水は酸性食品でそれを食すると酸性体質になります。
これら生命の無い食品、日ごとに腐敗してゆく食品は「邪食品」といい、病弱体を作るもととなります。
酸性体質になる事の何が問題なのか。
身体が酸性体質になると、血液が汚れて粘つくようになります。
血液が汚れて粘つけば当然、血液の循環が悪くなります。
血液は生命の素であり、病気も健康も「食で始まり血液で決まる」ものと言えるでしょう。
ご承知のように血液は心臓の働きで全身に循環していますから、その血液がきれいでサラサラしていれば循環もよく血色も良いわけです。
病人が大方顔色が悪いのはそのためで、血液の循環が悪いことを意味しています。
「血液がきれいでサラサラして循環が良い」ことが健康の秘訣、奥義であると言えるでしょう。
さらに、酸性体質になると筋肉細胞が弛緩(ちかん=ゆるむ)します。
身体は60兆もの細胞でできており、骨格から筋肉、皮膚から毛髪、臓器から脳に至るまで全身みな細胞でできています。
その細胞が弛緩したら身体のすべてが駄目になってしまいます。
例えば、目はかすみ頭はモウロウとなり、心臓も血液を送る力や引き締める力が弱まるために肥大し、胃腸は胃拡張・胃下垂や消化能力が弱まる胃アトニーになります。
若く健康なうちはともかく、夜更かしや過労、心配事などが重なった場合に身体は衰弱して生命力が弱まり、酸性を中和する力が衰えてしまいます。
そうなると、たちまちに病気が発生するのです。
更に病人の場合、病状が悪化し回復はますます遅滞して大変煩わしいことになります。
酸性食品を日常主に食べているということは、あらゆる化膿菌・ぶどう状菌・大腸菌・連鎖状菌・結核菌・肺炎菌・チフス菌・インフルエンザ菌・ピロリ菌、等などを大歓迎する状態にするということです。
その他にも癌細胞・白血病などの万病を誘発し、助成する好飼温床の条件が整う事になり非常に危険な状態で油断なりません。
健康な毎日を送るためには酸性食品を少なくし、大食・過食をしない事、腹を立てないことです。
大食や過食をしたり、腹を立てるとアルカリ性でも酸性に変化してしまいますので油断できません。
また、疲れたら早く休み休息すること。市販薬を飲む代わりに清らかな岩清水を飲むことをお勧めいたします。
「健康に生きられるのも、病気が治らないのも、病弱であるのも、みなカルシウムの摂取如何によって決まる」
という大論説は私の尊敬する、その道の大家・片瀬博士の説です。
95歳の古老の大先輩である片瀬博士が「私が30年もの間、風邪すらひかぬのは卵の殻を食べているからである。」と体験発表をされ、関係者に衝撃を与えました。
実際に片瀬博士は、いつも卵の殻をそのままバリバリと召し上がっていらっしゃいました。
私も片瀬博士に直接ご指導頂いておる身として、何とか食べやすく立派な卵殻の粉末食物として格安に作り上げて、希望者に原価で頒布したいと研究を続け、食用の卵殻カルシウムの粉末として頒布されるに至りました。
市販のものや、業務用の卵殻カルシウムは未焼成で、厚生省の指定する添加物しかなく、自分で作るしかなかったわけです。
今日の豊富な食品のなかで、他の栄養分は充分満たされているのにカルシウムのみが欠乏していると、毎年厚生省が発表します。
これは日本の国土が火山灰土壌のためで、日本の作物は世界でも一番カルシウムが不足しているのです。
そのため、食物以外でカルシウムを求める必要があるということです。
カルシウムは、特に私たち日本人にとっては栄養食物と並行して常に摂取する必要不可欠なもので、基本的重要なものです。
カルシウムの成分や効能など、詳しいことはその専門資料にて、是非学んで下さい。。
「怒ればアドレナリンという猛毒が体内に発生し細胞を老化させる、笑えば成長ホルモンを体内に生じ若返りの妙薬になる」という精神身体医学の研究が発表されています。
私の知人で、肺結核で医者に見放された重症患者や、脊椎カリエスで寝込んでいた婦人が、食生活の改善とともに心を明るくし、感謝・感激の心に変えた日から快方に向かい、全治して今では社会の第一線にて大活躍されておられる方がおられます。
私の体験でも「心の持ち方を変えさせ、食事を玄米正食に切り替えること」によって、幾人もの重病人を簡単に全治させています。
それは、60兆の人間の細胞が神経を通して作動しているからです。
つまり、心の状態が神経を通して細胞に働きかけるということで、それを善用すれば良いわけです。
釈尊(しゃくそん=お釈迦様)は「三界唯心緒現(さんかいゆいしんしょげん)」と申されています。
これを意訳すれば、「世の中の出来事はみな心の現われである」ということ。
つまり「病気も不幸も災難も、運命すら自分の心が創る」ということであり、実に達見です。
自分の心が病弱や運命を創る真理をお悟りください。
心に安らぎが出来れば細胞は正常に活動しますから、解毒も新陳代謝も消化吸収も旺盛になります。
ですから、この肉体は単なる物質ではなく、その人の心をそのまま顔と同じように写し出す繊細な細胞組織体で出来ています。
故に「心は身の王」と言われ、心が狂えば生活が狂い、心が歪めば人生が歪む、その継続と積み重ねが運命をも歪ませ狂わせてゆくのです。
今から220年前「白隠禅師(はくいんぜんし)」という駿河の高僧がおられ「万病治癒の秘法」というのを発表されています。
それは現在でいう「腹式深呼吸法」のことであります。
かつて、その白隠禅師が修行中に肺病三期となり、その頃うわさに聞いた山奥の仙人を命がけの努力のすえ探し出して、仙人から伝授された治療法がその「腹式深呼吸法」で、死地から健康を回復された体験のものです。
「腹式深呼吸法」というのは、息を吸うときに下腹を膨らし、吐くときにへこませる法です。
そして「膨らしたときに、うんと下腹に力を入れ、後は徐々にその力を抜きながら少しずつ息を吐き出す法」です。
その呼吸法を時間の許す限り長く続け、時間が無いときには5分でも10分でもよいから行うことです。
腹の調子がおかしいと思ったらこの法をやれば大抵の場合、快方に向かうものであり、筆者も体験し感心しています。
腹が先ず大切で、万病は殆ど腹から起こります。
無病健康生活は先ず胃腸を健康に保持することから始まるのです。
病人は殆ど胃腸が悪く、大半が食欲がありません。
それを「食べないとなお身体に悪い」といって無理に食べようとするからなおいけません。
食欲ないときには、一時的に断食をすることが最高の治療法です。
断食を心もとなしとして不安がり、やらないから成果を得られないのです。
断食といっても食欲が無ければ食せず、自然と食欲が出てきたら食すればいい、ということです。
胃病や病弱は大方食べ過ぎから、そして腹へと始まります。
犬でも猫でも病気になったら、生草をかじり何日でも断食しますが、間もなくひとりでに治っています。
誰も教えないのによく知っているものだと感心します。
大切な腹の健康を維持するには、先ずこの「腹式深呼吸法」を実践してみてください。
「心を落ち着かせ、安らかな気持ちで」
これが大事なんですね。
そうすれば、病の始まりを防ぐことができ、案外簡単に健康維持することができることが解るんですよ。